前回の復習
・例題1:公的介護保険は、40歳以上のすべての人が支払う義務がある。
・解答○ 解説:公的介護保険は、40歳以上のすべての人が加入し、保険料を支払う義務があります。ただし、40歳未満の人は加入対象ではないため、保険料の支払い義務はありません。
・例題2:労災保険の保険料は、労働者と会社が半分ずつ負担する。
・解答✖️ 解説:労災保険の保険料は、全額会社(事業主)が負担し、労働者の給与から天引きされることはありません。これは、労働者を業務上のリスクから守るために、企業側が責任を持って保険料を負担する仕組みになっているためです。
・例題3:雇用保険の基本手当(失業手当)は、自己都合で退職した場合でも、すぐに受給できる。
・解答✖️ 解説:自己都合で退職した場合、基本手当(失業手当)を受給するには、通常7日間の待機期間に加え、原則2ヶ月(場合によっては3ヶ月)の給付制限があるため、すぐには受給できません。一方で、会社都合の退職(解雇・倒産など)の場合は、給付制限なしで待機期間終了後すぐに受給可能です。
今日の科目
1公的年金
・公的年金とは
・公的年金の種類
・公的年金の給付内容
・公的年金の保険負担料
2私的年金
・私的年金とは
・私的年金の主な種類
・公的年金との違い
3国民年金
・国民年金とは
・国民年金の基本情報
・国民年金の加入者(被保険者)の区分
・国民年金で受け取れる年金の種類
4まとめ
1 公的年金

・公的年金とは
公的年金は、日本に住む人が老後や障害、死亡時の生活を保障するために加入する国の年金制度です。現役世代が支払う保険料を、高齢者などの受給者に支給する『世代間扶養』の仕組みになっています。
・公的年金の種類
日本の公的年金制度は二階建て構造になっています。
階層 | 年金の種類 | 加入対象 | 特徴 |
1階部分 | 国民年金(基礎年金) | 20歳以上60歳未満の全員 | すべての人が加入する基礎的な年金 |
2階部分 | 厚生年金 | 会社員・公務員 | 給料に応じた年金が上乗せされる |
・公的年金の給付内容
公的年金は、次の三つのケースで給付されます。
①老齢年金(老後の生活費)
・老齢基礎年金(国民年金)→原則65歳から受給
・老齢厚生年金(厚生年金)→会社員・公務員は上乗せ支給
②障害年金(障害を負った時の生活支援)
・障害基礎年金(国民年金加入者向け)
・障害厚生年金(厚生年金加入者向け)
③遺族年金
・遺族基礎年金(主に子供がいる配偶者向け)
・遺族厚生年金(会社員・公務員の家族向け)
・公的年金の保険負担料
・国民年金:定額(2024年度は月額16,980円)
・厚生年金:給料に応じて決まり、会社と労働者が折半
年金は老後の生活を支える大切な制度なので、どのように支払われ、受け取れるのかを理解しておくと安心です。
2 私的年金

・私的年金とは
私的年金とは、公的年金(国民年金・厚生年金)とは別に、個人や企業が自主的に加入・運用する年金制度のことです。公的年金だけでは老後の生活費が不足する可能性があるため、それを補う役割があります。
・私的年金の主な種類
1:個人型の私的年金(自分で加入・運用)
・iDeCo(個人型確定拠出年金)
・掛金を自分で積み立て、運用も自分で行う。
・節税メリットが大きい(掛金が全額所得控除)
・60歳まで引き出せない
・個人年金保検
・生命保険会社が提供する年金商品
・掛金を支払い、老後に分割で受け取る
・保証期間や税率が決まっているものが多い
2:企業型の私的年金(企業が提供)
・企業型確定拠出年金(企業が提供)
・会社が掛金を拠出し、従業員が運用する年金制度
・退職後に受け取れる
・企業によって運用商品が異なる。
・確定給付企業年金(DB)
・企業が将来の年金額を保証し、資産運用する制度
・退職後の安定した年金受給が可能
・企業の運用成績によってリスクを負うこともある
・公的年金との違い
公的年金 | 私的年金 | |
運営者 | 国(政府) | 個人・企業 |
加入義務 | あり | なし(任意加入) |
財源 | 現代世代の保険料 | 自分の積み立てや企業の拠出 |
目的 | 老後の最低限の生活保証 | 老後の生活の充実・資産形成 |
公的年金だけでは老後の生活費が足りないことも多いため、iDeCoや企業年金などの私的年金を活用して、将来に備えることが大切です。
3 国民年金

・国民年金とは
国民年金は、日本に住むすべての人が加入する公的年金の基礎部分です。老後の生活を支えるための最低限の年金を提供する制度で、『基礎年金』とも呼ばれます。
・国民年金の基本情報
項目 | 内容 |
対象者 | 20歳以上60歳未満の日本に住むすべての人 |
保険料 | 毎月定額(令和6年度:16,980円) |
受給開始年齢 | 原則65歳から(繰上げ・繰り下げ可能) |
受給額 | 一人あたり年額約80万円 (満額の場合、高齢者へ給付) |
・国民年金の加入者(被保険者)の区分
国民年金には三つの区分があり、立場によって加入方法が異なります。
区分 | 対象者 | 保険料の支払い |
第1号被保険者 | 自営業者、フリーランス、学生、無職の人 | 自分で納付 |
第2号被保険者 | 会社員、公務員 | 厚生年金から自動的に納付 (給与天引き) |
第3号被保険者 | 第2号被保険者の配偶者 (扶養に入っている人) | 保険料負担なし (配偶者の厚生年金でカバー) |
・国民年金で受け取れる年金の種類
国民年金は『老後の年金』でけではなく、病気・事故・死亡時にも支給される社会保障制度です。
1:老齢基礎年金(65歳から受給)
・原則として10年以上の保険料納付期間が必要
2:障害基礎年金(病気や怪我で障害を負った場合)
・障害の程度に応じて支給される
・1級:約98万円/年、2級:約78万円/年(令和6年度)
3:遺族基礎年金(加入者が死亡した場合)
・18歳未満の子供がいる配偶者や子供が対象
・受給額:子1人なら約100万円/年(令和6年度)
4 まとめ
・国民年金は公的年金の基礎部分であり、すべての人が加入義務あり
・公的年金は老後だけではなく、障害や遺族の保障も含む
・私的年金は任意で加入し、公的年金の不足分を補うために利用する
・老後資金をしっかり確保するには、私的年金
(iDeCoや企業年金など)の活用も重要
シンプルに言えば、国民年金は公的年金の一部であり、老後の最低限の年金。公的年金だけでは不足しがちなので、私的年金で補うのが理想的。