経済と景気の指標

前回の復習 

問題1:公的医療保険において、被保険者が入院した場合の「高額療養費制度」により、自己負担限度額を超えた医療費は支給される。

答え:〇

解説:高額療養費制度とは、1ヶ月の医療費の自己負担額が一定の限度額を超えた場合に、その超過分が支給される制度です。限度額は年齢や所得によって異なります。

問題2:がん保険の給付金は、公的医療保険の適用を受ける治療に限らず、自由診療の治療費にも使用することができる。

答え:〇

解説:がん保険の給付金(診断給付金・入院給付金・治療給付金など)は、使途が自由であり、公的医療保険の適用がない自由診療の費用や、生活費・交通費などにも充てることができます。そのため、高額な先進医療や自由診療を受ける際にも役立ちます。

今日の科目

1 主な経済、景気の指標

2 国内総生産(GDP)

GDPとは?

三面等価の原則とは?

3 経済成長率

経済成長率とは?

4 景気動向指数

景気動向指数とは?

5 日銀短観

日銀短観とは?

6 マネーストック統計

マネーストック統計とは?

7 物価指数

物価指数とは?

1 主な経済、景気の指標

① 国内総生産(GDP)

②経済成長率

③景気動向指数

④日銀短観

⑤マネーストック統計

⑥物価指数

2 国内総生産(GDP)

GDPとは?

GDP(国内総生産)とは、一定期間内に国内で生産された財やサービスの総額を示す指標です。国の経済規模を測るために使われ、GDPが増えれば景気が良く、減れば景気が悪いと判断されることが多いです。

三面等価の原則とは?

三面等価の原則とは、国内総生産(GDP)を算出する際に用いられる3つの異なる方法―生産(付加価値)アプローチ、所得アプローチ、支出アプローチ―が、理論上は同じ結果になるという考え方です。

生産アプローチ: 各産業が生み出した付加価値の合計を計算する方法

所得アプローチ: 労働者の賃金、企業の利益、租税など、所得の総額を合計する方法

支出アプローチ: 消費、投資、政府支出、そして純輸出(輸出-輸入)の合計を計算する方法

この原則により、経済全体の生産、所得、支出が互いに一致することが確認され、国民経済計算の正確性や一貫性が担保されます。

3 経済成長率

経済成長率とは?

経済成長率とは、一定期間内に国全体で生み出された財やサービスの総額(通常は国内総生産:GDP)がどれだけ増加したかを示す割合のことです。一般的には前年同期比や前期比で算出され、経済の拡大や活発さを測る指標として利用されます。

4 景気動向指数

景気動向指数とは?

景気動向指数とは、経済全体の状況や変化を把握するために、複数の経済指標を統合して算出される指数です。通常、以下の3つの側面から評価されます。

先行指数: 経済の将来の動向を示す指標。たとえば、新規受注や消費者心理などが含まれ、景気の転換点を予測するのに役立ちます。

一致指数: 現在の経済状況を反映する指標。生産や雇用、売上などの実績が含まれ、現在の景気水準を示します。

遅行指数: 経済の変動の後を追う指標。例えば、失業率や在庫状況などがあり、景気の変化が実際に現れてから反映される部分です。

これらの指数を組み合わせることで、政府や中央銀行、企業、投資家などが経済の拡大・収縮のタイミングを把握し、今後の対策や判断材料とするために利用されています。

5 日銀短観

日銀短観とは?

日銀短観とは、正式名称「全国企業短期経済観測調査」の略で、日本銀行が大企業や中小企業を対象に定期的に実施する経済調査です。この調査では、各企業の景況感、業績、今後の見通しなどについてアンケート形式で情報を収集し、その結果から景気動向を示す各種指数(業況判断指数など)が算出されます。政府、金融機関、投資家などが景気の現状や将来の動向を把握するための重要な指標となっています。

6 マネーストック統計

マネーストック統計とは?

マネーストック統計とは、中央銀行などが国内に流通する貨幣の総量を測定・公表する統計データのことです。一般に、以下のような区分に分かれています。

M1: 現金や当座預金など、すぐに使える流動性の高い資産

M2: M1に加え、普通預金などのやや流動性が低い資産

M3: M2に加え、その他の金融資産も含めた広範な通貨供給量

これらのデータは、経済の流動性やインフレーションの動向、金融政策の効果などを評価するための重要な指標となります。

7 物価指数

物価指数とは?

物価指数とは、特定の財やサービスの価格の変動を定量的に示す統計指標です。基本的には、ある基準年(通常は指数100と設定)と比較して、物価がどれだけ上昇または下落したかを表します。たとえば、消費者物価指数(CPI)は一般家庭が購入する商品の価格変動を測定し、インフレやデフレーションの動向を把握するのに利用されます。他にも、企業間取引における価格変動を示す生産者物価指数(PPI)などがあり、経済全体の物価水準の変化を捉えるための重要な指標となります。