前回の復習
問題1 インフレーションが進行すると、一般的に貨幣の価値が上昇し、同じ金額でより多くの商品やサービスを購入できるようになる。
【正解】×
【解説】インフレーション(インフレ)とは、物価が継続的に上昇する現象です。物価が上がると、同じ金額で購入できる商品やサービスの量は減るため、貨幣の価値(購買力)は低下します。例えば、100円で買えたパンが120円になると、同じ100円では買えなくなります。そのため、貨幣の価値が上昇するのではなく低下するのが正しい理解です。
問題2 デフレーションが進行すると、一般に企業の収益が悪化し、雇用や賃金に悪影響を及ぼす可能性がある。
【正解】〇
【解説】デフレーション(デフレ)とは、物価が継続的に下落する現象です。物価が下がると、企業の売上や利益が減少しやすくなり、コスト削減のために人件費を抑える動きが出ます。その結果、賃金の引き下げや雇用の減少につながる可能性があります。さらに、消費者は「将来もっと安くなるかもしれない」と考えて支出を控えるため、景気の悪化を招くことがあります。
問題3
一般に、日本の金利が海外の金利よりも低い場合、日本円は売られやすくなり、円安要因となる。
【正解】〇
【解説】内外金利差とは、国内と海外の金利の差のことを指します。一般的に、金利の高い通貨は投資対象として魅力があるため買われやすく、金利の低い通貨は売られやすい傾向があります。
例えば、日本の金利が低く、海外(例えば米国)の金利が高い場合、投資家はより高い利回りを求めて円を売り、米ドルを買う傾向があります。その結果、円が売られて円安要因となります。
今日の科目
1 金融とは?
2 金融市場
•金融市場の種類
3 新発10年国債利回り
•ポイント
4 金融政策
•金融政策の主な手段
5 公開市場操作
•主な種類
6 財政政策
•主な種類
1 金融市場とは?
金融市場とは、資金を必要とする人(企業・政府)と、資金を運用したい人(投資家・銀行)をつなぐ市場です。
2 金融市場
金融市場の種類
① 短期金融市場(1年以内の資金調達)
• コール市場:金融機関同士が短期的な資金を貸し借りする市場。
• 手形市場(CP市場):企業が短期の資金を調達するための市場。
② 長期金融市場(1年以上の資金調達)
• 株式市場:企業が株式を発行して資金を調達する市場。
• 債券市場:政府や企業が債券を発行し、投資家から資金を集める市場。
3 新発10年国債利回り
新発10年国債利回りとは、「新たに発行された満期10年の日本国債の利回り」のことです。
ポイント
• 長期金利の代表的な指標とされ、住宅ローン金利や企業の借入金利にも影響を与える。
• 日銀の金融政策や市場の景気予測によって変動する。
• 国債価格と利回りの関係:「国債価格が上がると利回りは下がり、国債価格が下がると利回りは上がる」。
例:
• 国債がたくさん買われる(価格が上がる)→ 利回りは下がる。
• 国債が売られる(価格が下がる)→ 利回りは上がる。
4 金融政策
金融政策とは、日本銀行(日銀)が物価の安定や景気の調整を目的に行う政策のことです。
金融政策の主な手段
① 金利政策(政策金利の操作)
• 金利を引き下げる(金融緩和):景気を刺激する(円安要因)。
• 金利を引き上げる(金融引き締め):インフレを抑える(円高要因)。
② マネタリーベースの調整
• 市中の資金量を増やす → 景気刺激(金融緩和)。
• 市中の資金量を減らす → インフレ抑制(金融引き締め)。
5 公開市場操作(オペレーション)
公開市場操作とは、日銀が市場の資金量を調整するために国債などを売買する政策手段です。
主な種類
① 買いオペ(資金供給オペ)
• 日銀が国債を買うことで、市場に資金を供給する。
• 金利が下がり、景気を刺激(金融緩和)。
② 売りオペ(資金吸収オペ)
• 日銀が国債を売ることで、市場から資金を吸収する。
• 金利が上がり、景気を抑制(金融引き締め)。
6 財政政策
財政政策とは、政府が税金や公共支出を使って景気を調整する政策のことです。
主な種類
① 拡張的財政政策(景気を刺激する)
• 公共事業の増加(道路・橋の建設など)。
• 減税(企業・個人の負担を軽減)。
• 目的:景気回復、失業率の低下。
② 緊縮的財政政策(景気を抑制する)
• 公共支出の削減(無駄な支出を減らす)。
• 増税(税収を増やし、財政健全化)。
• 目的:インフレ抑制、財政赤字の改善。